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ウキウキ研究会の会報「プカプカ通信」の一部をwebで紹介します。
by uki-puka
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プカプカ通信142・Apr-3-2015

        美浜町松原海岸の赤籠     はやししげお

 福井県美浜町は敦賀市の西に位置し、松原海岸は北側に日本海の若狭湾を望むために冬場の北風が優勢になると漂着物が増えてきます。2014年12月から2015年2月にかけての冬は、当初西よりの風が優勢で、敦賀半島西側の水晶浜などに多くの漂着ゴミが寄りました。けれども1月に入り北風が優勢になると、松原海岸のように北側が海に面した海岸に大量の漂着物が押し寄せることになりました。
 若狭地方は沈水地形によるリアス式海岸が知られており、磯がメインになった海岸線が続きます。特に敦賀半島や常神半島などの突出した部分は磯の連続ですが、松原海岸あたりは東の和田海岸から、西の久々子海岸までのおよそ3kmの砂浜が続くビーチコーマーには貴重な海岸です。
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11431367.gif


 さて、この冬は、対馬暖流の勢力が弱くて、特に12月の流入は少なかったようです。そのために前からプカプカ通信でも報じているように、日本海に浮かんだ韓国由来の海ゴミが大量に福井県には押し寄せました。 1月に若狭地方の6箇所で流出国を探るサンプリングをしたところ、やはり韓国が圧倒的に多くて、漂着ゴミの6割を占め、それに日本、中国と続きました。このように韓国ゴミが多いときには、韓国製品の調査にはもってこいなので、ちょっと気になっていた韓国でアナゴのウケに用いられるえさ籠の調査を行いました。この籠の中に魚のはらわたなどを入れ、アナゴのウケに入れておくと、嗅覚の鋭いアナゴがえさを求めてウケに入るために、この籠はウケと対をなすものです。
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_1144453.jpg


 えさ籠には、大別して四角いモノと、円筒形のモノとの二つに分けられます。四角ものはヒンジ部分(蝶番)が3箇所あるために、何度も開閉しても壊れることが少ないものです。けれども右の写真にあるような円筒形のえさ籠では、1箇所しかないために破損が多いようで、蓋の外れたものも多く見かけます。またヒンジ部分が壊れていなくても、破損予防のために細いナイロン紐を通してあるのも多く見かけました。

 打ち上げられたえさ籠を調べているうちに形態や色にバリエーションが見られたので紹介します。蓋部分は外れやすいので、底の部分で分類したら、このようなバリエーションがありましたが、3と9、2と8とは同じ型で作られた色違いのようです。
円筒形赤籠のバリエーション
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円筒形赤籠の蓋部分
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11252555.jpg


円筒形赤籠の底部分
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  上の写真は、籠の蓋と、底の部分の写真ですが、パターンが底とは一致せずにまったく別のパターンになっているのも多く見受けられますね。
 下の表は漂着した円筒形の籠の計測値ですが、劣化や変形もあるので、目安と考えてください。蓋直径はヒンジ部などは含ます、円の外側の直径です。
円筒形赤籠の計測値 単位はmm
     1 2 3  4 5  6 7  8 9 10
高さ  83 82 83 92 83 86 77 81 83 107
蓋直径61 60 63 72 69 67 62 61 63 88
底直径47 46 46 51 53 53 46 46 46 66

 ふだんは、この籠を「赤籠」と呼び、色のバリエーションがあるくらいにしか思っていませんでしたが、ちょっと気にしてみれば、これほどのバリエーションがあって驚かされました。オレンジウキやガラスの浮き玉同様に、どれも奥が深いものですね。特大の10を除き、大凡のサイズは同じですが、微妙なサイズ違いがありました。また表面を観察しましたが、ハングルなどの陽刻は見られませんでした。
 四角い赤籠は、アオイガイの保護容器などに使うのでよく見ていますが、コレにもバリエーションがいくつか見つかりました。
四角い赤籠のバリエーション
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11265021.jpg

   
四角い赤籠の計測値 単位はmm
    1  2  3  4  5     
長辺 107 107 92 107 105
短辺  72 72 63 72 72
厚さ  84 84 84 94 94

 四角い赤籠では5つのバリエーションが見つかりました。1~3までは同じ会社で作られたもののようで、同じハングルの陽刻が見られました。4にもハングルの陽刻がありましたが、1~3とは異なったもので、5には数字の陽刻が見られました。
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11451068.jpg


 4の陽刻はクローズアップしましたが、左端にはリサイクルマークがあり、ハングルは월드통상(ワールド通商)と読めました。このワールド通商とは、韓国におけるかなり大きな総合商社のようで、ウェブページにはさまざまなモノがあり、この赤籠まで辿り着けませんでした。(笑)また溝の部分のプラスチックにはバリなど一切見られず、陽刻もハッキリ読めるため非常に高い成型技術で作られた製品ということが分かります。
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11454920.jpg


 四角い赤籠では、ヒンジの反対側に開閉のための取っ手と、ロックするための凹凸が作られています。その構造はほとんど同じですが、微妙な違いがありますのでここに示した写真で説明します。1では片側に凹部二つ、凸部二つが横並びになっていますが、4では左右に凹凸が交互に並ぶ仕組みになっています。バリエーションの中では、1,2,3で左右同じものが並ぶタイプで、4,5で凹凸が交互に並ぶタイプになります。
 以前新潟の柏崎で行われた漂着物学会の発表で、この籠の中で成長し、出られなくなってしまった生物のことを教えてもらいました。 

 今回の赤籠を気にしたのは、そうした蟹や貝をチェックするつもりで見ていたのですが、見つかったのはカニが一つと、他にはアコヤガイが三つ入っていただけでした。その理由には、ふたがしっかり閉まっていなかったり、四角い籠ではロックがいい加減だったために落ちたものもあるのでしょう。籠の中の生物は大したことなかったのですが、思いがけずに変わった形のモノを見つけてしまいました。
プカプカ通信142・Apr-3-2015_c0057167_11461429.jpg

 形は円筒形の籠ですが、蓋のあるタイプではなく、四角い赤籠と同じ最中タイプなのです。これを見つけたのは初めてなので、ちょっとワクワクしました。これは直径45ミリ、高さ75ミリの円筒にヒンジ部分が二つとロック部分、それに開閉のための取っ手がついたものでした。こうした小さなプラスチック製の籠は、どれもウケの中に入れて使われたものと思われますが、2014~15にかけての冬場、韓国の海ゴミが極めて大量に漂着したおかげで見つかったものでしょう。海岸の自然環境にとって海ゴミの増加はピンチですが、こうした漂着物調査においては、格好のチャンスとなりました。焼け石に水かもしれませんが、調査用に回収した赤籠などの海ゴミは拾い上げて処分いたしました。
by uki-puka | 2015-04-03 06:59 | プカプカ通信
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