プカプカ通信121 ・ Mar-25-2013 |
究極の漂着仏発見 田中正人 ここ北海道の湘南の端っこ様似町は夏涼しく、冬さほど寒くはなく雪も少ない・・・と北海道に反しているようなところです。でも、今年の冬は寒かった。 大量に雪は降らないものの、寒さのためなかなか溶けない、ちらちらとは降る。「寒いから雪があるから浜歩きは無理だよな~」と思う気持ちが、歳のせいもあってか増えています。 しかし、長年続けているブログ「ウキウキ・浜歩き・山歩き」の更新も年々滞りがちなので、寒くても浜を目ざさなければと、いつも気にはなっているのです。 2月24日(日)休みなので、久しぶりに、ネタ探しに、真冬日のマイナスの中、静内の浜に行きました。着る物をいっぱい着て、いざ浜に~・・・「えっ、ガクッ!」・・・カメラを忘れてしまったのです。とほほと帰ってきました。ネタにするのにカメラがなければ意味がありませんからね~・・・この時、カメラさえ忘れなかったら、大発見をしなくてすんだのに~・・・(後悔) 翌日2月25日(月)この日も休みでしたが、微熱で調子がよくありません、しかしブログネタのためにはと、近くの浦河の浜に向いました。ここは、幌別川という大きな川の河口から入る浜で、この日は雪で中まで車が入れないせいか、誰の足あともありませんでしたが、何にも無いきれいな浜でした。足早にテトラを過ぎ、浜に面した所にある馬牧場の青い屋根の小屋の裏側に差し掛かった時でした・・・ 一見、足が止まった・・・「おっ!」人のように見えたからです。でも、よ~く見ると、黒い網の塊に白っぽい肌色の浮きのようなものが見えました。「おう浮きか~・・・」と確認に一目散に向ってしまいました。15mほどのところで・・・す~と、血の気が引いてゆき、180度回れ右をして駆け出しました。そうです、人の死体だったのです。あの浮きのように見えたのは、顔・手足だったのです。 小走りに走りながら、「どうしよう・・・」もちろん周りにはだれもいません。 でも、ふと考えると、死体だとしたら、カラスなどが寄っているはずですが、周りにいるカラスは無関心のようでした。なんか、きゅうに自信がなくなりましたが、確認に行く勇気もありませんでした。 携帯から110番にかけ、「死体のようなものがあります」と通報しました。北海道の場合、携帯から110番すると、札幌につながります。私は「浦河署につないでください」と頼みましたが断られました。地元の警察ならすぐ場所も分かるのに~・・・ 30分ほどたってから、警察や救急車が来て、遺体と確認したのです。その後、私は浦河警察署で第一発見者として、事情徴収され帰って来ました。 翌日の新聞には「25日午後1時15分ごろ、日高管内浦河町東幌別の海岸で、男性の遺体が砂浜の上に横たわっているのを散歩中の男性が発見、110番通報した。浦河署によると、遺体は全身が凍っており、海から打ち上げられた可能性があるという。身長160㌢ほどの中肉で、年齢は30~60代。黒のウインドブレーカー上下と白い運動靴、茶色のリュックサック、ベージュのウエストバックを身に着けていた。同署で身元と死因を調べている。」 その日から、私もみんなの前では、平然を装ってはいるものの、寝ても起きても、目の前に横たわった遺体が映し出され続けました。しばらくしても、何の手がかりが無いのか警察からも連絡がありませんでした。しかし、3月3日の北海道新聞のお悔やみ欄に発見場所近くの41歳の男性が出ていました。しかも「25日死去」になっていました。やっぱー私の中では、「誰だったのか?」分からないままでは、もやもやがなかなか取れませんでした~・・・ 発見現場の近くには「浦河の郷土博物館」がありますので、電話をしてY学芸員に聞いてみました。「やっぱー田中さんでしたか~」新聞社から「郷土館の学芸員が見つけたそうだが?」・・・と電話が在ったが「知りません、たぶん浜歩きは様似郷土館の田中学芸員でしょう」といったそうな・・・ Yさんの話では、漂着仏はうつ病がちで、最近仕事もしてない男性の自殺らしいということでした~・・・ どうにか仏様のこともわかり、供養もされたので、私も一安心です。まだ、浜には行けませんが、気持ち的には落ち着きました。 実は私は、今までの人生で今回が4回目の第一発見者になります。川、山、人家そして浜です。これも何かの縁なのですね。 皆様も「漂着仏」にであっても、落ち着いて行動して下さい。「漂着仏」もきっと草葉の陰で喜んでくれていることでしょう。 南無阿弥陀仏 (合掌) From Editor :それにしても田中さん、海・山・人家・そして浜でもと来れば、もう怖いものなしですね。田中さん、4月にオープンのアポイ岳ジオパークビジターセンターの準備などで大忙しのようです。みなさん、一段落ついたころにでも見物にいかなきゃね~!!2013年夏の北海道ウキウキ研修会はビジターセンターでしょうか? 日本海側の漂着物、今季の傾向 はやししげお 桜の開花も始まり、日本海側での漂着シーズンはそろそろおしまいですね。2012年11月ごろから始まった漂着には様々な特徴がありましたので、その一部を紹介しましょう。2012年夏から秋にかけては、太平洋側の渥美半島では私が知る限り最も多いモダマなど海豆類の大量漂着があり10月末まで続きました。そんなわけで南から北へと伸びるベルトコンベアがいきなり止まることもあるまいと予想していました。 その予想通り、11月3日に福井参りをしたところ左に示したような海豆オンパレードでした。何ヶ所かの浜を歩いた合計ですが、それにしても1日でこんなに拾えるとは思いもよらないことでした。これはもう太平洋側と同じ流れが来ていることを確信させてくれました。こうしてベルトコンベアは対馬暖流を使い南方のモノをいくつも日本海側に届けてくれました。そんな中にはめったに見られないヒルガオガイ、それに沖縄方面に多いコブシメ(目が拳ほどの大きさがあることから名づけられたコウイカの一種)なども混じっていましたし、ウキや壜などを中心としたベトナム製品が数多く含まれていました。 ベトナム製品では馴染みのキャンディーウキが、新・旧両バージョン登場しました。これは前に紹介した太平洋側同様に2012年から漂着が観察されたものです。みなさんの地域ではどちらも漂着していますでしょうか? 日本海側では秋になると大量のクルミが漂着します。熟して落下後に河川から海に注ぎ込んだクルミ、早い時期にはまだ果肉が付着しているものもありますが、晩秋ともなればきれいに磨かれたクルミになっています。そのほとんどはオニグルミ(上下の段とも左端)ですが、それに一部ヒメグルミ(上の段右)とマンシュウグルミ(下段の中央と右)とが混じっています。今季、そんな中で多かったのは彫りの深いマンシュウグルミです。逆に少なめだったのがハート型をしたヒメグルミでした。マンシュウグルミは長い旅を物語るかのように彫りの深い凹んだ部分に小さなエボシガイをいっぱい付着させていたのが印象的でした。他にはウミガメが非常に多く、中でもアカウミガメは大量漂着と言えるほどの量でした。この件は、また別の機会にでも紹介したいと思います。 |
by uki-puka
| 2013-03-25 07:28
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