プカプカ通信165・Jul-30-2017 |
奥尻奇岩紀行 鈴木明彦(北海道) 2017年7月初旬、西南北海道の日本海に浮かぶ奥尻島に行ってきました。2012年以来なので、5年ぶりとなります。奥尻島は、周囲68km、面積143?のかなり大きな島です(写真1)。 今回の目的は奥尻島の海岸に見られる奇岩の調査と、内陸の釣懸層(17?15Ma:1700?1500万年前)で最北のビカリア化石を採集することです。まずは奥尻島の奇岩を二三紹介しましょう。奥尻のシンボルといえば,奥尻港から見える岩です(写真2)。 奥尻の海でも採れるマボヤに似ていますが、食用にはなりません。この岩も米岡層を貫く角閃石安山岩の岩脈(3Ma)です。さらに西海岸には、ユニークな奇岩モッ立岩が見られます(写真4) いわゆる陽石にあたり、特に説明は不要でしょう。奥尻町HPには、多少詳しい説明があるのでご参照下さい。この岩は白亜紀中期(95Ma)の花崗閃緑岩です。 次に奥尻に伝わる伝説と地形・地質との関連をみてみましょう。まず奥尻誕生は、源義経が生き延びてエゾまでやってきたという〈義経伝説〉と関連があります。 奥尻島(イク・シリ=向こうの島)は、日高地方でアイヌの娘をだまして魔法の巻物を奪った義経が、アイヌの追っ手をさえぎるために魔法で出した島だそうです。渡島大島、渡島小島を出しても追っ手がせまったため、奥尻島を出したらとうとうあきらめたということです。 地質学的にみれば奥尻の誕生は大陸から日本列島が離れ、新第三紀中新世(17?15Ma)に日本海が誕生した時、古日本海(=多島海)に浮かぶ島のひとつだったのでしょう。その当時、奥尻は古黒潮が洗う亜熱帯の海岸でした。島の東部に分布する釣懸層(写真5)からは北限の巻貝化石ビカリアが見つかります。 今回、採集したほぼ完全なビカリア化石(写真6)は、同行した学芸員のE君がクリーニング中です! この世では結ばれなかった清次郎と歌子ですが、二人は海岸の岬で結ばれ、清次郎歌岬(火山角礫岩:3Ma)として、奥尻の海を見つめ続けています。これらの島や岬はいずれも海底火山の噴火活動でできたものです。 奥尻の北端・稲穂岬は、古くから海の難所として知られていました。海難事故で亡くなった人々を追悼し、船旅の安全を祈願して、地蔵が作られました。それに加えて海辺には累々と小石が積まれ、賽の河原とよばれるようになりました(写真8)。 真夏のビーチコーミング はやししげお 今の季節、真夏は北海道などにお住まいの方はともかく、本州中部に住んでいる私には、普通に浜を歩けるものではありません。何せ暑い!熱い!日差しもジリジリ、そして砂も熱くなり、昼間はまともに歩けません。まだ海水に浸かれば気持ちがよいので、海水浴ですね。ただこれもUV対策必須ですが・・・(笑)そしてSPF+++++など強いものを使っても、洗うのが下手なオレは拭き残しがあり、ムラになったり難しいものです。 |
by uki-puka
| 2017-07-30 13:38
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