プカプカ通信110 ・ Dec-10-2011 |
虹色のガラス玉 野村 昭英 ガラス製の浮き玉(以下ガラス玉)は、本州などではなかなか拾い難い漂着物のようですが、ここ北海道では嬉しいことに比較的容易に拾うことができ、ビーチコーミングを始めてからまだ1年ほどの私でも、既に50個近くが手元にあります。 この日も、「今日はダメか・・・」と諦めかけた頃、波打ち際近くの漂着物に紛れたガラス玉を見つけ、嬉しい気分になりました。 しかし、その後は特に収穫が無かったので引き返したのですが、すぐにやや離れた所で、何かが太陽の光を反射してピカピカと輝いているのが目に留まりました。 これまでの経験から、それは今までに何度もガラス玉と間違えた漁船の集魚灯だろうと思ったのですが、それにしてはやけにキラキラし過ぎているのが気になり、確かめるためそちらへ歩を進めました。 近付くにつれ、内部ランプなどがはっきり見えてくる集魚灯とは異なり、それは紛れもないガラス玉だということが判りました。 しかし、どうにも信じられません。 なぜならそれは、今まで見たことが無い、虹色の光沢を持つ無色透明なガラス玉だったからです。 ガラス玉の直径は約76㎜、少々いびつな形で、虹色に輝く表面には無数の縦線とヒビ割れがありました。また、長径約20㎜、短径約19㎜と、小さいながらヘソもちゃんと付いていました。 その派手な見た目から、実際に使用するのではなく、インテリアやディスプレイ用に作られたものだと思い、ガラス浮きを販売しているサイトを色々と覗いてみたのですが、同じようなものは見当たりません。 そのうちに、北海道小樽市にある「浅原硝子」で、タコ化け縄漁用に虹色に輝くガラス玉が作られていたことを知りました。 もしかしたらこれも、そのような目的で作られたのかもしれません。 このガラス玉がどこで作られ、そしてどのような旅をしてここまでやって来たのかは分かりませんが、沢山の不思議とともに打ち上げられる漂着物たちとの出合いを楽しみに、これからも浜を歩いていきたいと思います。 Editor's Note 野村さんが2011年11月10日、江差町五厘沢町で虹色に輝く浮き玉を見つけられました。これまで、こうした雰囲気の浮き玉は、スネークスキンと呼ばれるものと、小樽の浅原ガラスの四代目、浅原宰一郎さんの作られたラスター浮き玉があります。浅原さんのラスター浮き玉は、表面に特殊な塗料を吹きつけ、ラスター彩としたもので、これはミズダコ漁の漁師さんの求めに応じて、作られたものです。現在では、このラスター玉にガラスが熱いうちに一瞬水につけて"ひび模様"を入れた「ラスター彩キャンドルポット」が売り出されています。 一方のスネークスキンは、北洋ガラスで作られたものだと考えられています。1960年ごろ、北海道のイサリ(蛸用のガラス玉を使う大型ルアー)を使っているタコ漁師がやってきて、派手な色をした浮き玉をリクエストしたようです。それに応じて北洋ガラスは透明なウキを作り、それがまだ熱く柔らかなうちに、派手な色ガラスが熔けた中に入れて回転させて表面にコーティングをし、除冷窯で冷ましたところ、こうしたクモの巣状やヘビ皮を連想させる模様ができたと聞いています。 こうした浮き玉は、どちらもミズダコ用のイサリに使われたものなので、野村さんが北海道で拾われた虹色のガラス玉も同様に、ミズダコ漁師の求めに応じて、どこかのガラスメーカーが作ったものでしょう。 浜辺を歩く人が増え、ビーチコーミングに興味をもたれる方が増えてきたのでこうした面白いモノが見つかるようになりました。虹色の浮き玉はまだ見たことがありませんので、ぜひ本物を見せていただきたいものです。野村さんは、この浮き玉だけではなく、北海道で初記録と思われるジオクレアも発見されてみえますので、モノ探しの才能がありますから今後の活躍が期待されますね。 今季の日本海ウキ情報 はやししげお 日本海ではそろそろ北西の季節風も吹き始め、漂着物シーズンに突入し始めました。そんなわけで、身近なウキ情報をお知らせします。新潟県では、11月中旬からガラスの浮き玉がいくつか揚りはじめました。多い日には小ぶりのガラス玉が数個、それに中身入りのアオイガイも漂着した模様です。そして11月下旬には、台湾でマグロ延縄漁に使われている直径28cmの緑玉も打ち上げられた模様です。この時季、荒れや海流の流れによっては、日本海にプカプカ浮かんでいた漂着物がまとめて寄る場合があるので、タイミングが合え ば、幸運な出会いが待っていますね。 11月下旬時点では、福井はまだ、本格的な漂着シーズンにはなっていないようで、そんなに多くの漂着物がやってきているわけではありませんが、時間の問題でしょう。 11月26日、翌日の海浜センタービーチコーミング講座のために、福井入りをしましたが、ついでに福井市の三里浜海岸を歩いてきました。このとき、韓国製の小ぶりな浮き玉を見ましたし、福井在住のビーチコーマーらが、福井県北部や石川県南部で浮き玉を拾われています。 この日に三里浜砂丘では、もう一つ興味深いウキを見ました。それはオレンジ浮きの4本を合体させたものです。ウキをいくつか重ねて浮力を高める方法は、昔から漁師さんたちに伝わった方法ですが、今回のオレンジ浮きは1/0号を4本重ねたものでした。 このオレンジ浮きには、浮子綱へ結わえるための凹みが両端にあるので、その部分を使って、上手に結わえ、びくともしない構造に結んでありました。これと同じものを三里浜砂丘だけではなく、およそ15キロ北東にある浜地~波松にかけての海岸でも見かけましたので、きっと流出元は同じだと思います。ふだんは刺し網に使われるオレンジ浮きですが、浮力を4倍にしたこの加工浮き、どんな漁に使われていたのでしょうか?ちょっと気になりますね。 福井の海岸を歩いた印象をもう一つあげておきましょう。今季、オレンジ浮きも少なくありませんが、それよりも青い紡錘状の浮きがやけに目立ちました。カウントはしていませんので、定量的なことはいえませんが、オレンジ浮きよりも多く感じました。 2011年も残り少なくなってきました。風邪などひかれぬよう、ご自愛ください。また浜の情報などもお寄せください。 |
by uki-puka
| 2011-12-10 00:00
| プカプカ通信
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