プカプカ通信・102 Feb-27-2011 |
北海道・十勝の海岸へ漂着したゴバンノアシ 藤山恵子 今年の北海道・十勝地方は例年になく雪解けが進んでいます。いつもなら遅い春がいつもより少しだけ早く来そうです。いつもの年なら寒過ぎて行きたくない浜歩きもいつもよりやや快適です。 2011年2月10日浜歩きに出かけました。場所は浦幌町厚内チプネオコッペと言われている当たりの浜を歩いた時です。普段でしたらここの浜は何もなくたいてい素通りします。 ただこの日は小石が多く上がったいたためちょっとだけ寄ってみる事にしました。すると道路と浜の間に入れられたテトラポットの間にゴバンノアシを発見。 周りにはペットボトルなどのゴミが多少あるのみ。他に南方から流れた来たものは特に見当たりませんでした。ここ最近海が特に荒れた様子も薄いので少し前に流れ着いたものかも知れません。 十勝の浜への南方系種子の漂着例まだ少ないので嬉しい発見でした。これより以前トイトッキ浜(豊頃町)にホウガンヒルギ・ゴバンノアシが漂着しています。 しかし今回は南から見ると更に遠くの浜に流れ着いたようです。これだけ傷まずに北海道まで来た事にも驚きです。 最大径約13cm 高さ約8cm。はっきりした稜は3本。長旅をしてきたにしては立派な姿だと思います。 たぶん対馬海流が津軽海峡を越え運んで来てくれたんじゃないでしょうか。いつか十勝地方の海岸でもモダマを拾えるんじゃないかと期待してしまう漂着物でした。 From Editor: 藤山さんの報告してくれたゴバンノアシは、表皮の残った非常に良い状態での漂着です。わたしのフィールド、福井の三里浜や若狭、それに愛知県の渥美半島では、ゴバンノアシそんなに珍しくはない漂着物ですが、これだけ状態の良いものはあまり見かけません。今回ゴバンノアシが確認された浦幌町厚内は、襟裳岬と釧路とのほぼ中間点にあたります。2005年8月に台風の影響で、襟裳岬の百人浜に漂着したと考えられているミフクラギがありますが、このゴバンノアシはどのような経路で漂着したのでしょうね。 この冬、雪が降る前の2010年11月18日、北海道南部・渡島半島(日本海側)にある江差町田沢町で縦約24mm、横約25mm、幅約10mmのジオクレアが拾われています。ウエブページ(http://tskk.exblog.jp/14476575/)この記録は、わたしが初めて知った北海道への海豆漂着です。 浮力の強いココヤシは北海道各地で漂着記録があります。ビーチコーマーの増加は、こうした漂着記録をもっと細かなものにまで向けてくれそうです。日本海を流れた対馬暖流は、その70%が津軽海峡を通り太平洋に、残りの30%は北海道をさらに北上し一部は宗谷海峡からオホーツク海に流れ出しているそうです。こうしたことから、津軽海峡周辺のビーチコーミングは非常に興味深いものになりそうですね。 今シーズンの日本海側の漂着状況 林 重雄 寒かった冬も、そんなに長続きするわけも無く、春めいてきました。ただ今季の福井は久しぶりの豪雪で、雪の少ない若狭地方でも、1mを超すような積雪となりました。そんなわけで、普段なら雪の積もらない浜でも、真っ白になっていることが少なく無かったのです。積雪による高速道路の閉鎖などもあって、この冬は福井へ行く回数が昨年に比べ、少し減りました。そんな中での浜の様子(2010年11月~2011年2月)をお知らせします。その間、日本海側の浜を歩いたのは10回、内訳は三里浜や浜地を中心として歩いたのが4日、石川県の塩屋~片野にかけてが1回、若狭の浜を歩いたのが5回でした。 こうした10回のビーチコーミングで感じたのは、「浮き玉が超少な~い!」ってコト。何と今季4ヶ月の中で見つけた浮き玉はたったの3個!これはビーチコーミングを始めてからのワースト記録になります。こうした浮き玉の不漁はわたしだけではなく、福井の浜を歩いてみえる方々がみな口をそろえて、「今年は浮き玉が渋い・・・!」って言われています。昨年11月には、福井市自然史博物館でビーチコーミング展をやったこともあり、にわかビーチコーマーが増え、見つけやすい浮き玉が拾われていったのかもしれませんが、どうもそれだけではないようです。 他に少ないものといえば、昨シーズンはわんさか押し寄せたエチゼンクラゲ、ことしは破片を一つ見たきりで、それ以降は全く見ていません。昨シーズンの多い日には、三里浜砂丘の砂浜を破片が埋め尽くしたような場所もあったのですが、今季は皆無の状態です。早い時期に一つ大きめの破片を見たのが最後、その後は出会っていません。 さて、逆に多いものといえば、ウミガメがあげられます。数年前までウミガメ類の漂着は珍しいものでしたが、昨シーズンあたりから漂着が増加し、今季は10個体ほどのウミガメの漂着が確認されています。わたしが知りえた情報では、アカウミガメ6個体、タイマイ4個体で、そのうちアカウミガメ1個体とタイマイ1個体は生きており、越前松島水族館で飼育中です。その他は漂着死体で、福井市自然史博物館、若狭町の海浜自然センターなどに保管してあるものもあります。この中で特筆すべきは6個体の漂着したアカウミガメのサイズで、一つは75センチほども甲長がありましたが、その他の5個体は甲長が10センチ前後の若い固体で、たぶん昨年の夏に孵化したアカウミガメと推定できます。 漂着種子も数多く揚がりました。わたしが見つけた数だけでも、モダマ5、ワニグチモダマ2、タシロマメ3、ククイ2、シロツブ1、ハマナタマメ6と、モダマだけでもガラス玉より多かったのは漂着量が増えているのでしょう。こうした漂着種子類の増加感じているのは、わたしに限らず福井の友人も同様です。ここでは数を計上しませんでしたが、こうした海豆類に限らず、ココヤシ、ゴバンノアシ、モモタマナ、シナアブラギリの漂着数もかなりの数にのぼり、中でも一番多いのはシナアブラギリでしょう。 そろそろ中部地方では、花粉の飛び交う季節になってきました。鼻水に悩んだり、目をしょぼしょぼさせるようになると、日本海側の漂着シーズンもそろそろおしまいですね。これからは海藻が目立ち始め、海豆などが探しにくくなりますね。(笑) |
by uki-puka
| 2011-02-23 21:20
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