プカプカ通信・101 Feb-4-2011 |
船霊様の港風景 中司 光子 1月11日。快晴。15分前から車を温めておいたのにまだ霜で真っ白!フロントガラスの霜を削り落として8時15分出発。この朝の最低気温は帯広で-16.2℃(芽室はもっと低いはず。翌朝は-23.4℃を記録)。帯広の積雪33センチ。 今年初の海は広尾港へ。船霊様で漁船が祝旗を揚げているのを見に行ってきましたので、その風景を紹介します。 ふなだま〔船霊・船玉〕 ①船の守護霊。賽ころ・髪の毛・人形・五穀・銭などを神体として船中にまつる。ふなだまさま。 ②船中で祭る守護神。摂津の住吉の神・水天宮・金比羅権現など。船神。船霊神。広辞苑(岩波書店)より 国道に出るまでの路面状況は良くないのですが、出てしまえばアスファルトは殆ど乾いていて、広尾方面は雪が少なかったです。 広尾港に着いたのが10時半頃。港に繋留してある漁船には国旗や大漁旗、吹き流しが揚がっていて、竿の先に笹の葉を取り付けている船もあります。でも陸揚げされている船が多く(旗は揚がっている)、港の中に船が少ない…。少しするとエンジンを掛ける 船があって、これはもしかしたら漁船のパレードが始まるのかもしれないと喜びまし た。船員が乗り込むと、船長らしき人が一升瓶を持ってきて舳先の右舷と左舷から海面に酒を撒き、柏手を打ちました。ところがその後になんと旗を降ろして、この船だけで出港して行きました。そしてその海面に漂う一升瓶…!何でここに捨てる~!! 他にも漁船の近くに若い船員が車を止めて乗り込み、出港準備を始めた船があったので、年配の方に聞いてみました。 「組合員が漁協に集まってお祓いとかしないんですか?」「今は昔のように大袈裟なことはしないね」 「旗は今朝揚げたんですか?」「そうだ」 「旗を立てた船のパレードなどは無いんですか? 」「しないねぇ」 「ツブカゴですよね。これから揚げに行くんですね。いつ入れたものですか?」 「毎日入れる」 「毎日入れて毎日揚げるんですね」「ああ。」 そんな会話をしているうちにも旗は降ろして畳み、漁具を積んできた岸壁の小型トラックに乗せ、出港して行きました。 港には船が繋留されていない場所に沢山の乗用車が並んでいましたので、各漁船が都合に合わせて、私が到着する前に出港して行ったのでしょう。祝いの日の宴などはどうなのでしょうね。私が子どもの頃は、父が船霊様の日の集まりに行って、持って帰ってくる赤飯や折り詰めのおかずが楽しみでした。 穏やかな港の中ではスズガモの群れが気持ち良さそうに浮かんでいました。 焼印の押されたバナナフロート はやししげお この冬、久しぶりに冷たい冬を過ごしています。ここ数年は暖冬が続き、氷も張らない冬が続いていましたが、この冬は子供の頃の冬に逆戻りした感じです。そんなわけで高速道路もチェーン規制が多く、1月末には北陸道が終日通行止めになるほどの大雪にもみまわれました。そんな冬の三里浜で焼印が押されたバナナフロートを拾ったので紹介します。 1月23日、前日に恐竜博物館後援会の解散総会に出席し、福井泊まりだったので三里浜砂丘へビーチコーミングに出かけました。この冬はお天気が悪かったり、18万キロ走ってきた愛車のエンジントラブルに悩まされたりと、福井の浜が歩けてなかったのです。福井市内は雪が多く、浜も雪に覆われているのではないかと心配していましたが、それは杞憂におわり、雪の無い浜歩きができました。 昨年末に福井市自然史博物館で開かれたビーチコーミング展は、盛況で幕を閉じましたが、その影響もあってか、ビーチコーミング人口は増加したようで、浜を歩く人が増え、真冬の砂浜にも足跡が数多くありました。そんなわけで、漂着物は多かったのですが、ガラスの浮き玉は、この日一つも拾えなかったのです。ビーチコーマーが増えたのは喜ばしいことですが、浮き玉が福井の冬に拾えないってのは、何だか寂しくもあります。 福井市の三里浜砂丘は、暮の大荒れによって砂丘が削られました。特に西にある鷹巣海水浴場では、海の家が夏にあった位置まで砂丘が削られ、駐車場が陥没したり、電柱が倒れたりしたのですが、この日はもう砂が少し戻ってきていました。沖合いには離岸堤が設置されていますが、自然の営みはそんなモノを全く気にしていませんでした。 この日には、少し遅れていたハリセンボンの大量漂着が始まっており、汀線沿いにいくつかのハリセンボンが打ちあがっていました。多い場所では1mに1個体の割合で漂着していた場所もあって、死滅回遊で語られるハリセンボンですが、なんだか懐かしい気がしました。 さて、浮きですが、さまざまな種類のプラスチック製浮きが漂着していました。オレンジウキの漂着量が減ったとか言われていますが、見た感覚ではそのようには思えませんでした。 そんな中で、一つ興味深い浮きを見つけました。それは焼印が押されたバナナフロートを見つけました。それは全長175mm、幅53mm、厚み34mmの、バフ色をした発泡合成樹脂製のものでした。その表面に押された焼印は縦87mm、横25mm+で、四角い枠の中には、「落マルハ(〇の中に、は)初枝丸」と五文字ありました。ただ最初の「落」は、「福」かもしれません。そうなると、気になるのは初枝丸ですよね。このバナナネットで検索したら初枝丸はイロイロありました。初枝丸には、アリューシャン列島あたりで漁業調査をした船もありましたが、こんな記事も・・・・・第5初枝丸・竜宝丸衝突(北海道宗谷支庁枝幸町沖) [昭和62年3月31日] 北海道宗谷支庁枝幸町沖 死者1名;行方不明者5名;船舶1隻沈没 3月31日午前9時30分、北海道宗谷支庁枝幸町の港から52kmのオホーツク海・・・このバナナフローとは、けっこうエージングが進み、横から見るとフロート自体も湾曲が進んでいたので、ついついこんな記事が気になってしまいました。こうしたフロートに焼印を入れるという面倒な作業、最近ではあまり行われないと思います。だって焼印の入ったバナナフロートに出会ったのは、これが初めてでしたから。 |
by uki-puka
| 2011-02-05 17:16
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